〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
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| 61「アカスジキンカメムシ」(カメムシの仲間・カメムシ科) このあたりではカメムシと言わずにハトウジと呼ばれています。農作物の害虫として、また、悪臭を発する虫として嫌がられています。カメムシのなかまは、陸上にすむ陸生カメムシ類、水面または水辺の湿地にすむ両生カメムシ類、水の中にすむ水生カメムシ類の3つにわけられます。みなさんに一番嫌がられるのはクサギカメムシです。晩秋になると冬眠のために家の中にたくさん入ってきます。カメムシの中でも一番臭いカメムシとして有名です。でも、このカメムシからミミカキダケという冬虫夏草が生えたのを採取したことがあすのですよ。今回紹介するカメムシは、アカスジキンカンカメムシというカメムシです。幼虫の時には白黒の模様をしていますが、脱皮をして成虫になると写真のように大変美しいカメムシに変身します。友達が脱皮をした殻と美しく変身した成虫をくれました。アカスジキンカメムシのようにカメムシのなかまには大変美しいものも少なくありません。帝釈峡に生息するニシキキンカメムシはあまりにも有名で、その名のごとく錦色に輝く美しいカメムシです。幼虫から成虫になる時に脱皮した殻までもが美しく輝いています。人から嫌がられる生き物にもそれぞれの美しさがあるものです。自然の美は正に神秘の世界です。 |
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| 62「ハコネサンショウウオ」(サンショウウオ科) 油木町には、オオサンショウウオ(特別天然記念物)とブチサンショウウオが生息しています。そして、油木町と豊松村が接する父賀や仙養ヶ原の北側にはハコネサンショウウオという大変に珍しいサンショウウオが生息しています。このハコネサンショウウオは冷たい流水を好む小型サンショウウオですが、成体(親)になると約二十cmになり頭から背中、尾にかけて赤い色に変わります。父賀や仙養の北側に生息するハコネサンショウウオは広島県が地域固体群として希少種に選定しています。写真のハコネサンショウウオは、いずれも父賀産で三匹とも幼生(子ども)です。実物大だと思ってご覧ください。写真でおわかりのように頭と胴の境に鰓(えら)が見られます。また、前脚の四本の指先と後脚の五本の指先には黒いかぎ状の爪が見えます。鰓は水中で生活するために必要です。また、指先のかぎ状の爪は急流に流されないように物につかまるために必要です。ところが、四年後の七月〜八月、親になって上陸する時にはこの爪が落ちてしまいます。そして、翌年の五月〜六月の繁殖期には水中に入るため雌雄共に再び爪が生えてくるという面白い特徴を持っています。ハコネサンショウウオは、仙養石(玄武岩)が連なる岩海と石の底を流れる冷水に守られ生き続けてきましたが絶滅寸前となっています。 |
| 63「タヌキ」(イヌ科) 昔話や歌にもよく登場するタヌキは、昔から日本人に愛されてきた動物の一つでしょう。時には、タヌキ汁になったり、客寄せのはく製のなったりもしました。しかし、愛嬌のある顔やしぐさには親しみを覚えます。ある日のことでした。「アナグマだと思うのですが、たいそう弱っているので、何とか助けてやってくれませんか」と電話が入ってきました。早速、もらいに行きました。ダンボールの中の獣は、やせこけて、毛並みにもつやがなく、かみつく気力もありませんでした。後からよく見るとアナグマではなくタヌキでした。野山に住む獣の一番の天敵は、ダニや寄生虫です。イノシシは、体についたダニをとるために泥沼で体を洗います。寄生虫を退治するには馬酔木(アセビ)を食べて激しい下痢を起こし寄生虫を排出するのです。タヌキがどのようにして寄生虫を退治するのかは分かりませんが、やせこけた目の前のタヌキは、寄生虫の苦しんでいるに違いないと虫くだしの薬を牛乳に混ぜて飲ませました。二日目になると少し元気になりえさを食べるようになりました。やはり、寄生虫だったのです。数日後、帰宅してみると、高い囲いを跳び越えてタヌキは逃げていました。「よかった。よかった」タヌキを捕まえて私に届けてくださった友だちの優しさに応えることができてほっとしました。いたずらをするタヌキですが、憎めない獣として私達の近くで生き続けることでしょう。 |
| 64「雲海」 神石郡のなかでも、仙養ヶ原・小野・永野から見える雲海は絶景です。特に仙養ヶ原から見える雲海は、豊松村の米見山を中心に広大な広がりを見せてくれます。車で通っていても、あまりの美しさのしばし車を止めて眺められる人が多いことでしょう。時には、雲海の北、はるか彼方に大山が浮かんで見えることがあります。先日も雪化粧をした大山が雲海の彼方に浮かび上がり見事な景色をつくり上げていました。雲海は午前三時頃から現われ始めます。雲海が現われ始め、雲海が広がると共に明るさが増していく景色も素晴らしいものです。雲海が美しい朝は、一日晴天に恵まれることが多いようです。雲海のかかり具合は天気予報にもなります。テレビで天気予報のない時代には雲海や霧等の発生、霧の流れ等から天気を予測したようです。私は、子どもの頃から我が家から見える西の山の景色を見るように教えられました。「その日の朝、西にある山に北から南に霧が流れたらその日は晴れる。逆に、南から北に霧が流れたらその日は雨になる」と教えられたのです。不思議なことに霧がかかった朝、霧の流れをよく見ていると教えられた通りになるのです。昔の人達の生活の知恵には実に科学的で驚かされるばかりです。 |
| 65「日の出」 新しい年を迎え希望に胸をふくらませておられることとおもいます。約四十五億年前に太陽系が誕生して以来、太陽は地球に命を育み、人間を誕生させ、輝き続けてきました。私の家は海抜六〇〇mの高原に位置しています。ですから、写真のような日の出をいつも見ることができます。子どもの頃には、日の出の太陽は大きく見え、日が昇ると太陽が小さくなるのが不思議でなりませんでした。目の錯覚とはいえ大人になった今でも不思議に思えます。私は学生時代、ワンダーフォーゲル部を友達と創部し、好んで山登りをしました。その魅力の一つが富士山やアルプス等から見る日の出と日の入りでした。それらの光景は言葉では言い表せない神秘的な世界でした。特に日本一の富士山から見る日の出は素晴らしくその魅力にとりつかれ、大学三年間の夏休みを富士山で過ごしました。登山者の案内や剛力をしながら富士山九合目付近で見る日の出が最高です。日の出を見る度に、その頃のことが仲間の顔と共に思い出されてきます。油木町でも仙養ヶ原や小野愛宕山から見る初日の出が有名です。今年も沢山の人が参加されたことと思います。この油木でしか味わえない感動をぜひ子どもたちに与えてやって欲しいと思うのです。子どもの頃の感動体験は心の財産としていつまでも生き続けるものです。 |
| 66「まんりょう(万両)」(やぶこうじ科) 花の少ない季節の中にあって、私たちの目を和ませてくれる物の一つにマンリョウがあります。果実の可憐さから広く観賞用として栽培されています。きっと、みなさんの家のお庭にも植えておられることでしょう。マンリョウはやぶこうじ科の植物です。ヤブコウジをご存じの方は「そうだ、ヤブコウジを大きくしたものがマンリョウだ」とうなづけることでしょう。雪の降り積もるお庭にマンリョウの赤い実を見るとほっとした気持ちになります。マンリョウのように寒い冬になっても赤い実をつけている植物を思い浮かべて見ましょう。ナンテン・ビラカンサス・センリョウ・ウメモドキ・ツルウメモドキ・ソヨゴ・ガマズミ・ヤブコウジ・ツルリンドウ等たくさんありますね。いずれの実も赤く熟し、私たちの目を引きつけます。ところが、これらの実は人間にではなく野鳥たちに気付いて欲しいのです。野鳥に食べてもらい糞といっしょに種をばらまいて欲しいのです。自然に生える植物の種は、人間が捲くとなかなか発芽しないのに、野鳥が食べて糞といっしょに撒かれた種の発芽率は八十%を越える物もあります。植物の実と野鳥は共存共栄の関係なのです。せっかく大事に育てたマンリョウやセンリョウの実を野鳥に食べられて落胆されることもあるでしょうが、食べ物の少ない冬を懸命に生きている鳥たちにも思いを寄せてやりたいものです |
| 67「ブチサンショウウオ」(サンショウウオ科) 鈴鹿山脈以西の本州、四国、九州の山地に分布する流水性の小型サンショウウオとして町内の各地の渓流に見ることができます。この辺りでは「カクウオ」とも呼ばれて昔から親しまれていますが卵のうを見たという人はほとんどいません。このブチサンショウウオは三月下旬から五月下旬にかけて成熟した雌雄が小渓谷の源流近くの産卵場に集まり、雌は石の裏や伏流水の湧き出るくぼみなどに一対の卵のうを産み付けます。雌は卵を産み終えると林に帰っていきますが、雄は次の雌を待って繁殖期間中そこに留まったり卵のうを守ったりします。二十日〜三十日でふ化した幼生は六月下旬ごろから渓流の水たまり等に現われ水中の小動物を食べて成長していきます。時には共食いもします。そして、九月上旬になると変態して上陸していきます。町内の小渓流を調査して分かってきたことがあります。それは、ブチサンショウウオが生活廃水の流入しない渓流にしか生息していないことから水質汚染を見るバロメーターになっているということです。写真に見られる卵のうは六対も見られる大変めずらしいものです。このような素晴らしい自然環境を生かし、上野小学校では「ブチサンショウウオの研究」に取り組み二回も県科学賞を受賞しています。 |
| 68「アゲハチョウ」 チョウが美しく舞う春を迎えました。チョウには、成虫のまま越冬するチョウと蛹で越冬するチョウがいます。今回、紹介するチョウはアゲハチョウです。アゲハの仲間は蛹で越冬します。羽の色が黄色だったらキアゲハです。写真のように黄色が目立たなかったらアゲハです。チョウはまことに不思議な昆虫で、幼虫の時代に食べる食草に違いがあります。モンシロチョウの幼虫はキャベツなどのアブラナ科の植物を食べます。アゲハの幼虫はカラタチやサンショウの葉を食べます。アゲハの幼虫が小さい時は鳥の糞の色と同じ色をしています。大きくなると緑色に変わり葉の色とそっくりになります。もし、敵が近付いたならば頭の上から二本の朱色の角を出し異臭をばらまきます。いずれも敵から身を守るために備わった能力なのです。アゲハのように大型のチョウになると飛行距離も長く広範囲を飛び回ります。時には道に迷ってしまうこともあります。もし、迷ったら、その辺りで一番高い山の頂上に飛んで行きます。山の頂上から四方八方が見渡せます。そこで、自分の飛ぶ道を確認して、また飛んでいくのです。人間にも自分の進む道があるように、チョウにもちゃんとした道があり(蝶道)道をつけながら生きているのです。 |
| 69「クマガイソウ」(ラン科) ランの仲間はどの鼻を見ても美しく奇観を呈しています。それだけに私たちの注目の的となり、乱獲を余儀なくされてきました。このクマガイソウも例にもれず乱獲され、油木の自然の中で見かけることはもうできなくなりました。クマガイソウは袋形の唇弁が熊谷直実(くまがい・なおざね)の背負った母衣(ほろ)に似ていることから名付けられました。油木町では杉林の下とか時には竹林中に見ることができました。扇のように美しい緑に開いた葉に見守られるように一個の花を付けます。この独特の花に出会うといったいこれは何だろうとわが目を疑ってしまいます。今は愛好家の庭などで静かに咲いています。クマガイソウは日本にしか生えない日本特産種です。多年草で根茎が地中を横にはい増えていきますので、環境さえ整えば増やすことができます。町内でクマガイソウを育てている方は是非大事に育て増やして欲しいとおもいます。 花は咲く ただひたすらに 花の命を 美しく咲くために ただひたすらに咲く花を見ていると、その直向きな姿に心を動かされます。そして。とろうとした手をそっとひっこめて通り過ぎます。花の姿と匂いを残して・・・・・。 |
| 70「イワツバメ」 今年もツバメが子育てを始めました。「変わったツバメが来ているのですが。腰のところが白く見えます」入谷の山室さんが知らせてくださいました。そう言えば、安田の田辺さんからも同じ知らせが入っていました。早速、山室さんを訪問しました。ツバメは、川に架かった橋の裏側に巣作りをしていました。イワツバメです。この辺りには、三種類のツバメがいます。いわゆるツバメは人家にお椀状の巣を作ります。腰の部分が赤いツバメはコシアカツバメです。コンクリートの壁などにとっくり状の巣を作ります。これらに対して、イワツバメは橋下や岸壁に巣作りをします。イワツバメは、ツバメに似ていますが腰に白色部分があること、尾がはっきりした燕尾でないこと、額とのどに赤い部分がないことで区別できます。夏鳥として飛来しますが、分布は局地的で珍しいツバメです。ツバメは昔から益鳥として大切に保護されてきました。玄関真上に巣作りしても糞を少々落としても世話をされました。蛇に捕らえられたりすると家族みんなが悲しみました。そのような姿を見ながら子どもたちは育ったのです。大人の後ろ姿を見て子どもは育つと言います。私達もツバメをかわいがる姿を見せたいものです。 |