〔ゆきの自然を楽しむ〕
写真の説明文は中西正一先生の著書(ふるさとの人、自然とともに)の説明文をコピーさして頂いて居ます。
説明文の転載に付きましては、徳永真治元先生のご協力を頂いて居ます
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| 71「ホタルブクロ」 ホタルが見られる季節に咲く花ホタルブクロは、誰にでも親しまれているキキョウ科の花です。私は、子どもの頃、この花の袋の中でホタルが眠るのだとばかり思っていました。そして、本当にそうだろうかと昼間にそっとのぞいて見たものです。小さな子ども達に夢を持たせてくれるホタルブクロ、真っ白で下向きに咲くホタルブクロは虫たちのお家のようです。ある夏のことでした。十数個の花が咲いているホタルブクロの一つ一つにゲンジボタルを入れて見ました。そして、真っ暗にした部屋のテーブルの上に置きました。ホタルブクロの中で光るホタルの光は私を夢の世界に連れて行ってくれました。それはそれは見事な光の世界でした。油木高等学校の校歌に「・・・蛍雪かざして励みては、油木高校に明日ある我ら」と歌われていますが、本当にホタルの灯りで本が読めそうでした。翌朝「夢をありがとう。」と、元のねぐらに返してやりました。毎年ホタルブクロを見る度にあの時の感動を思い出します。このように、野に咲く花は私たちに多くの感動と思い出を残してくれます。四季折々に咲く野の花にそっと話しかけてみましょう。そして、子ども達に花たちとの触れ合いを伝えていきましょう。 |
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| 72「エサキモンキツノカメムシ」(つのかめむし科) カメムシの中でもひときわ目をひくのは何故でしょう。よく見ると背中にある模様がハートの形をしていることに気づきます。人の心を表すハート模様が以外にもカメムシにあるのですから滑稽です。また、このカメムシの名前の由来も滑稽です。エサキ=発見者の名前、モン=紋、キ=ハート紋が黄色、ツノ=肩の部分が角のようにとがっているカメムシという訳です。このエサキモンキツノカメムシはミズキ、ハゼノキ、サンショウなどの木にすんでいます。母親は卵から一齢幼虫になるまで子どもを大事に保護します。このように、カメムシのような虫が子どもが自立するまで保護するのですから驚きます。この美しいカメムシも臭い悪臭を出します。この悪臭はカメムシの胸の部分にたくわえられています。そして、敵が近づくとお尻にある管から出すのです。これも自分をまた子どもを守るために備わった武器なのです。カメムシは人間からは嫌われ者ですが、エサキモンキツノカメムシのように自然が織りなす美しい模様を持ったカメムシもいます。黄金に輝くカメムシもいます。また、子どもを命がけで守るカメムシもいます。これらカメムシの姿から人間にとって嫌な存在、邪魔な存在の中にもすばらしい価値のあることに気づくのです。 |
| 73「いぼ神様」(名水を訪ねて) 「二十一世紀は水の時代」と言われています。水を輸出している国もあります。我が国ではどうでしょうか。ガソリン一リットル九十円台の時代にあって、誰もが飲んでいる飲料水はペットボトル一本百円以上ですから「二十一世紀は水の時代」といわれるのもうなずけます。我が国は山国で水の豊かな国でした。至る所に清水が湧き私たちの喉を潤し田畑を潤してきました。ところが時代の流れと共に山や水田は荒廃し続けています。また、私たちの生活が変わり生活廃水を大量に流しています。このような中にあって「昔は冷えて美味しい水がぎょうさん流りょうたがのう」と言われた美味しい水がどんどんなくなってきています。しかし、一方では、大昔から名水として地域の人々から信仰を受けてきた名水が生き残っています。その中の一つ「いぼ神様」を紹介しましょう。「いぼ神様」は昔からいぼを落としてくれる水として信仰されてきました。岡山県との県境にあり忠原区の岡政定さん宅入り口から宇手迫林道を約一〇〇m下ったところにあります。大きな一本杉の袂に小さな社があり糸を引くようにわずかの水が出ています。アトピー性皮膚炎、癌にも効くと言われ訪れる人が増え続けています。わずかな水を求める人たちの姿の水の大切さを強く感じるのです・・・自然は人を育て人は自然を守る・・・未来に生きる子ども達に豊かな自然と水を残したいものです。 |
| 74「キヌガサタケ」(スッポンタケ科) マツタケ・シメジ・タニワタリ等々キノコの季節を迎えました。今年は豊作でしょうか。キノコは、食・不食・毒・猛毒・食毒不明のキノコに大別されます。中でも毒キノコによる食中毒は命取りになることもあるので要注意です。それには毒キノコの代表的な物には次のような物があります。ツキヨタケ・テングタケ・ドクツルタケ・タマシロオニタケ・ニガクリタケ等です。ある日のことでした。帰宅途中の私の携帯に「珍しいキノコを見つけたので早く見てください」と言う知らせが入りました。車で走っていて山の斜面にみつけたのだそうです。さすが川上誠之さんです。ずっと山に生きてきた人の目は素晴らしいものです。翌朝その場所に駆けつけました。薄明かりの山の斜面にそのキノコを見つけました。キヌガサタケです。梅雨期と秋、竹林内に発生することの多いキノコで形の優美さから、「キノコの女王」と呼ばれています。発見された場所は谷川沿いの雑木林でした。初めて見るキヌガサタケの優美さにしばし見とれてしまいました。真っ白のレース状のマントのような美しい傘を誰に見て欲しいのでしょうか。わずかの時間だけでも懸命に咲かせるキヌガサタケの姿に心を動かされました。 |
| 75「滅びゆくウメバチソウ・シラヒゲソウ」(ゆきのした科) 金色の 小さき鳥の 形して イチョウ散るなり 夕日の丘に 与謝野晶子 紅葉が夕日に映える美しい秋を迎えました。紅葉が散る季節には可憐な草花の種も散っていきます。その中には、絶滅寸前の草花もあります。今回は何としてでも残して欲しい二つの草花を紹介しましょう。その一つがウメバチソウです。仙養ヶ原の咲く代表的な花です。真っ白に咲いた可憐な花が梅の花に似ていることから名付けられました。昭和の五十年代には野原一面に咲いていましたが、今ではわずかに見られるだけです。十一月には小さな小さな種を落とします。いつまでも咲き続けるよう守って欲しい花です。もう一つはシラヒゲソウです。シラヒゲソウは白色の花びらが糸状に切れ込んでいることから名付けられました。実に不思議な花ですね。シラヒゲソウは山間の湿地に生えています。油木町にも数ヶ所で見られていましたが、道路工事などによりなくなってしまった所もあります。この花も是非守って欲しい花の一つです。このように、油木町にも絶滅の恐れのある花がたくさんあります。皆様のご理解を得て守り続けていきたいものです。 |
| 76「オオミズナギドリ」(ミズナギドリ科) 十一月十一日のことでした。油木町の西川芳伸さんから電話が入りました。「ユリカモメだと思うのですが、保護しているので見てください」という知らせでした。この辺りに海鳥がいることはありません。足に水かきがあるとのこと。カルガモの間違いではないだろうか。早速行ってみました。見てびっくり。見たこともない鳥だったのです。図鑑で調べオオミズナギドリだと分かりました。この鳥は、長い翼で海上を飛ぶ中型の海鳥です。日本では岩手県三貫島、東京都御蔵島、京都府冠島等の近海に集団繁殖しています。そのいくつは天然記念物に指定されている貴重な鳥でした。冬季にはオーストラリアにかけての海域に渡って行きます。おそらく油木の上空で敵に襲われたのでしょう。数日後、村上さんも保護されていると聞き二羽を一緒にしてやりました。一羽は翼を、一羽は足が傷つき治療には数ヶ月を要しました。渡り鳥にとって傷病は致命傷なのです。この鳥は、海の魚やイカを主食にしているため餌付けも不可能です。普通、野鳥を見ていると悠々と自由に大空を飛べていいなあ。と思いますが、実は常に外敵と戦いながら命がけで飛んでいるのです。傷つくもの、病に罹るものなど弱者は放置されるのです。このように、厳しい自然に生きる鳥たちから私達は、人としての生き方を考えさせられるのです。 |
| 77「ビワ」(ばら科)上手に薬草を生かす 冬に花を咲かせるビワ。冬の暖かな日にはミツバチが花に集まっているのを見かけることがあります。ビワは寒さに負けずに長期間にわたって咲き続け冬の内に実を付け六月〜七月にかけて実を熟します。その辛抱強さには驚きます。町内の所々に植えてありますが、美味しく食べられる実にはなってくれません。海抜四〇〇mに満たない手入の畑では立派なビワができるのです。赤木さんの子どもが持ってきたのを見て驚きました。また、羨ましくも思いました。ビワは、奈良時代に中国から伝わって来ました。漢名で枇杷と書くのは果実や葉の形が楽器の琵琶に似ているからです。ところで、食べられる実にはならないのに六〇〇mを超す高地にもビワが植えてあるのは何故でしょうか。それは、常緑樹で葉が美しいこと、薬用として使えからだと思うのです。葉はいつでも採取できます。葉の裏を軽く火であぶって布などで毛を除き、乾燥させて煎じて使いました。胃薬、咳止め、湿疹、あせもにも効能があります。このように、化学の発達していなかった時代でも人々は色々な植物から薬を見つけ健康を守るために努力したのです。今の私達は、医者と化学薬品に頼りがちですが、身の回りの植物などを見直し、自分で薬を煎じて飲むという生きる力が大切なのではないでしょうか。 |
| 78「ミヤマフユイチゴ」(ばら科) 飽食時代の子ども達でもミヤマフユイチゴを食べさすと「甘酸っぱくて、おいしいね」と言います。冬に食べられる珍しさもあるのでしょう。ミヤマフユイチゴは山地の木陰に生えています。また、竹薮の入り口等にもよく見られます。周りの草が枯れる冬になると熟した赤いイチゴと紅葉した葉が斜陽に照らされ目立つようになります。フユイチゴの葉には鳥の糞がよく付いています。餌が少ないこの時期の鳥たちにとって格好の餌となるのでしょう。食足りた現在では「私たち人間が取って食べたらいけないな」と思うのです。イチゴと言えばグミの色々、提灯イチゴ、びーびーイチゴ、あずきイチゴ、モミジバイチゴ等々手当たり次第に食べたものです。熟すのが待てなくて、よく熟していないイチゴを食べては下痢や腹痛を起こして親に心配をかけました。イチゴばかりではありません。しんざ(スイバ)、しゃりんぽ(イタドリ)、ずんべえ「ツバナ」(チガヤ)、かんす(ナツハゼ)、いっしょ(ガマズミ)、あけび、またたび、のいばら等々食べられる物は何でも食べたものです。ですから、誰もが何が何処にあるのかをよく知っていました。このように、お菓子もおやつもあまりない時代の子ども達は自然を駆け回り自然の物を食べ歩きました。食べ物も着る物も、家も貧しくてもたくましく生き、限りない思い出を残してきたのです。 |
| 79「クヌギイガフシ」(虫こぶ) クヌギの木の枝の果実のつくところに直径一cm〜ニcm大のコンペイトウ状の物がついているのを見かけることがあるでしょう。クヌギの葉が落葉した冬季には特によく目立つので気づいておられる人も多いと思います。これがクヌギイガフシという虫こぶです。この球を割ってみましょう。その中にはもう一つの卵形をした硬いからで出来た部屋があります。それを再び割ってみましょう。その中には小さな虫が一匹入っています。この虫は八月頃までは幼虫で暮らし、九月ごろにはさなぎになり、十二月には羽化してハチになります。そして、この部屋の一端に丸い穴を開けて飛立ちます。飛立ったハチの成虫は、早春まで生きていてクヌギの新芽に卵を産み付けます。早春に孵化した幼虫はある液を分泌します。それが植物の組織に刺激をあたえドングリになるはずの物が虫こぶになってしまうのです。虫こぶは四mm〜五mmの小さなハチの仕業だったのです。私たち人間が寒さに震えている間に小さなハチは子孫を残そうと懸命に働いていたのです。今では、このようなハチの不思議な力を医学をはじめとする人間の生活に役立てようと色々な研究が進められています。たかがハチ、されどハチ・・・・・ハチが持つ不思議な液が役立つときが必ずやって来ることでしょう。 |
| 80「フクジュソウ」(キンポウゲ科) 福寿草は、新年を祝う花として親しまれてきました。しかし、中部以南では稀にしか自生していない野草です。広島県でも北東部の石灰岩域に生息し、広島県の希少種に指定されています。お庭で見かけても、自然に生えているのを見ることは少ないと思います。油木町内には、自生地があります。地元の人の管理で自生種が群生しているのを見ると「花を愛する人のおかげで咲いているんだよ。」と語りかけるフクジュソウの声が聞こえてくるようです。フクジュソウは早春の雪の中から黄色の美しい花を現します。日が当たると花を開き、夕方には閉じて眠りにつきます。それを何日も繰り返し葉が大きく伸びる頃に花は散っていきます。フクジュソウのように、キンポウゲ科の花の中には早春に咲くものが少なくありません。スハマソウ・イチリンソウ・オキナグサ・ユキワリイチゲなど。どれをとってみても可憐な花ばかりです。おもしろいことにこれらの花は、谷間の砂利が流れるような場所であったり、草原であったりと農耕には適さない場所に咲きます。自然の厳しさの長年耐えながらやっと咲かせる花に我慢すること、耐えることの大切さを教えられます。 |